ウズベキスタンの古都で、その美しさから「青の都」と称されるサマルカンドを舞台にした壮大な歴史物語である。時は十三世紀、モンゴル帝国の礎を築いたチンギス・カンと、サマルカンド一帯を治めていた王国のジャラール王子、妹のカン・スルターン姫を中心に物語は進む。繰り返される侵略と報復に翻弄されながらも、三人はそれぞれの立場と運命に従って生きる。数少ない文献をひもとき、当時の場景や人々の心模様を丁寧に描写した470頁にも及ぶ労作。