私が秋田インターハイで民泊を引き受けたのは、他県の高校生に秋田の風景や人情を知ってもらえればという軽い気持ちからであった。しかし、そうした私の期待を遥かに超えて、彼女たちは今でも便りを送ってきては「秋田のお父さん、お母さん」と呼んでくれる。ともすれば青春の一ページとして片付けても不思議ではない六日間の思い出を、今なお大切にしてくれている彼女たちは、私と妻が生涯心に抱き続けるであろう宝となった−。
猿田巳代治著